当館は福島県における数少ない自然史系の博物館として、火山や
磐梯山周辺の自然を紹介するビジターセンター的役割をになっております。
蝶類は自然が生み出した最も美しい地球への贈り物であり、甲虫は力強い
生命の贈り物であります。
地球上の生物は、生命の発生以来、その進化の過程において多くの種が
出現し、他の種との競争や環境の変化に対応できず、多くの種が地球上から
姿を消していきました。これらの種の中には、人間の社会・経済活動の発展に
伴い、ある種は生息の場を失い、ある種は資源として乱獲されるなど、
人間の都合で絶滅したり、その危機に瀕しているものも少なくありません。
今回この企画展を通じて、昆虫の生活環・生態・分布・種類等の知識を少し
でも知り、その種の保存のたいせつさをご理解いただければと願っています。
7月1日(月) 〜 8月31日(土)
1.巨大カミキリムシ オオキバウスバカミキリ
南米アマゾンの森に住む南アメリカ最大の甲虫で、強靱なあごは小枝も
切ってしまうほどの力を持っている。
この虫の幼虫は現地人にとっては数少ない蛋白源で珍味といて重宝されている。
2.東南アジアの奇虫 バイオリンムシ
その名の通りバイオリンかたて琴のような形をしていて、木々のわずかな
隙間でも入れるように、横から見ると薄っぺらい。
熱帯の原始林に住み、サルノコシカケを食べて育つ。
3.世界最大のカブトムシ ヘラクレスオオカブト
角の先端から腹部先端までの長さが15cmもあり、世界最大である。
夜になると明かりを求めて爆音をたてて飛ぶ。
4.世界一巨大で華麗な蝶 ゴライアストリバネアゲハ
ニューギニアを中心とする島々に生息するこの蝶は、世界で最も
大きく美しい蝶として、古くから研究されてきた。最初この蝶を
目撃した探検家は鳥と間違えて散弾銃で打ち落としたという
エピソードもある。
5.アマゾンのフラッシュ光線 ヘレナモルフォ
南米アマゾンに住むこの蝶は羽根が大きく胴体が小さいため、
羽ばたく様子は雲がフワフワと浮かぶようだ。メタリックブルー
の羽根は遠く100m先でも飛んでいる姿が確認できる。キラキラと
輝く羽根はまさにフラッシュ光線である。
このほか約80種約500頭の昆虫を展示しています。
日本に生息しているカブトムシを7月中旬から8月上旬まで展示します。
絶滅のおそれのある種はどれか(種の選定)、何個体が生存しているか(生息数)、
どこに生息しているのか(分布状況)、生存をおびやかす原因は何か(減少要因)など、
絶滅のおそれのある生物に様々な情報をまとめた資料集
1960年代、多くの生物種が絶滅に瀕していることに人々が気づき、レッド・データ
ブックの考え方が生まれる。1964年、国際自然保護連合(IUCN)が世界で初めて編纂。
これは、すべての絶滅危惧生物を一挙に記載した。
その後、植物・ほ乳類・鳥類と、より専門性の高いものが発行される。
また、世界各国で、国単位のものも発刊される。
日本では、1986年、環境庁に野生生物課を設置して調査を開始し、1991年、日本版
レッド・データブックを刊行。
正式名称は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引きに関する条約」
1973年、81ヶ国が参加しワシントンでの会議で採択され、1975年発行。
目的は、[野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施する
ことにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかる]
ことで、日本は1980年に加盟し、1987年に国内法を整備した。
1.捕獲や譲渡の規制
・レッド・データブックに掲載されている種だけでも、野生個体の採取や捕獲を
全面的に禁止すること。
・商業的な野生個体の譲渡(売買)に規制を設けること。
・野生生物を金で買うことはよくないという考え方を、市民の常識として広めること。
2.生育地・生息地の保全
・理想的には生態系を保全し、人間生活と野生生物との共存を図ることが望ましい。
・鳥類のように行動範囲の広い種については、繁殖地・越冬地・採餌地などを包括的に
取り扱うことが求められる。
3.保護増殖事業
・自然の状態では種を維持できないレベルまで個体数を減らしてしまった種、もしくは
そのおそれのある種については、積極的な保護増殖事業を展開する必要がある。
(例:トキの人口繁殖)
4.調査研究の促進
・野生生物の生育や生息状況は時間の経過とともに変化するので、保全のための事業を
効果的に行うためには、個々の種の現状を常に正確に把握することが前提となる。
専門の研究者だけでなく、地域の生態系に詳しいアマチュア研究者の協力を得ながら
調査する必要がある。
・科学的な研究として、野生生物の種の遺伝的変異、繁殖様式、生活史、生理的特性、生態系
のなかでの位置や他の種とのかかわりあいなどを解析する必要がある。
5.乱開発の抑止
・世界的に見て、開発による生育地の消失は野生生物の種の存続を危うくする最大の脅威
となっている。
・アセスメント(生物学的影響評価)
[開発計画の策定に先立って、事業区域およびその事業によって影響を受ける可能性のある
地域に、レッド・データブック掲載種が生育・生息しているかどうかの調査を実施させ、確認
された場合には、その生存に影響を及ぼさないよう事業計画を変更させることができるような、
法的システムを整備する必要がある。]
6.外来生物の人為的移入の防止と駆除
・本来ならば生育・生息しないはずの外来の生物の移入により、多数の野生生物が消滅する
危険性が強い。特に島国である日本の場合、海という自然の壁により外界から隔離され、守られて
きたため、外来者の侵入に対する抵抗力が弱い生態系となっている。
7.教育啓発活動の充実
・科学的なデータに裏付けられた長期的な計画の下に、多くの市民の理解を得て、はじめて
実効的な保全が可能となる。そのためには、児童・生徒や一般の市民を対象とした教育啓蒙活動の
充実こそが、野生生物の保全を考えるうえでも最も重要である。
参考図書『日本の絶滅危惧生物』(保育社)
丸瀬布町昆虫生態館(北海道紋別郡)(01584-7-3927)
豊里ゆかりの森昆虫館(茨城県つくば市)(0298-47-5061)
長坂町オオムラサキ(山梨県北巨摩郡)(0551-32-6648)
胎内昆虫の家(新潟県北蒲原郡黒川村)(0950-57-3348)
石川県ふれあい昆虫館(石川県石川郡鶴来町)(07617-2-3417)
伊丹(いたみ)市昆虫館(兵庫県)(0727-85-3582)
たびら昆虫自然園(長崎県北松浦郡田平町)(0950-57-3348)