火山のハザードマップについて

火山災害を減少させる第一歩が、火山災害予測図(ハザードマップ)の作成にあります。
火山噴火現象が多様であるように、噴火による火山災害も多様になります。
しかし、多くの火山の場合、噴火を繰り返す際に、それぞれの噴火にはパターンの
ようなものがあり、過去の噴火歴を調査すると、将来起こるかもしれない噴火を予測する
ことも可能になります。
このように、噴火の形態や過去の噴火歴を基に、将来噴火に伴って災害が発生する可能性
のある地域を地図上に示したものを、火山災害予測図(ハザードマップ)といいます。
このマップは、大きく3つに分かれます。

1.火山学的マップ

起こりうる火山現象の確率・物理量などを、条件を変えて正確に示し、行政資料型マップ
住民啓発型マップの作成の基本となるもの。

2.行政資料型マップ

火山学的マップを基に、危険度分類や防災施設・情報伝達などを書き加えたもの。

3.住民啓発型マップ

行政資料型マップを基に、住民や観光客などに対して、火山現象の及ぶ範囲や発生時の
避難方法をわかりやすく示したもの。

現在、日本においては、この住民啓発型マップは、20を越える火山において公表されています。

磐梯山のハザードマップ

[北海道]

・北海道駒ヶ岳 : 1984年公表し、7回の改訂版を発行(現在のサイズ:A4版16p)
・十勝岳 : 1988年公表 (サイズ B-2 )
・樽前山 : 1994年公表 (サイズ A-1 )
・有珠山 : 1995年公表 (サイズ A-1 )
・雌阿寒岳 : 1999年公表 (サイズ A-1 )
・恵山    : 2001年公表 (サイズ A-3 )
・アトサヌプリ : 2001年公表 (サイズ A-1 )

[東北]

・岩手山    : 1998年公表 (サイズ A-1 )
・磐梯山    : 2001年公表 (サイズ A-1 )
・吾妻山    : 2001年公表 (サイズ A-1 )
・鳥海山    : 2001年公表 (サイズ A-1 )
・安達太良山  : 2002年公表 (サイズ A-2 )
・岩木山    : 2002年公表 (サイズ A-1 )
・秋田焼山   : 2002年公表 (サイズ A-1 )
・蔵王     : 2002年公表 (サイズ A-1 )
・秋田駒ヶ岳   : 2003年公表 (サイズ A-1 )

[関東・中部]

・浅間山    : 1995年公表 (サイズ A-1 )
  ・草津白根山  : 1995年公表 (サイズ A-1 )
・伊豆大島 : 1994年公表 (サイズ A-1 )
・三宅島 : 1994年公表 (サイズ B-2 )
・新潟焼山 : 2001年公表 (サイズ A-1 )
・焼岳 : 2002年公表 (サイズ A-2 )
・那須岳    : 2002年公表 (サイズ A-3 )
・御嶽山     : 2002年公表 (サイズ B-2 )

[九州]

・雲仙普賢岳 : 1995年公表 (サイズ A-2 )
・阿蘇山 : 1995年公表 (サイズ A-1 )
・霧島山 : 1996年公表 (サイズ A-1 )
・桜島 : 1994年公表 (サイズ B-2 )
・薩摩硫黄島 : 1998年公表 (サイズ A-3 )
・口永良部島 : 1998年公表 (サイズ A-3 )
・中之島 : 1998年公表 (サイズ A-3 )
・諏訪之瀬島 : 1998年公表 (サイズ A-3 )

火山のハザードマップにおける問題点

北海道駒ヶ岳や有珠山や岩手山を除くほとんどの火山において、マップは公表してもそれを
更新することがなされていないのが現状である。マップの公表は火山防災のスタートであって、
ゴールではないことを理解していない自治体が多いことが問題である。

火山のハザードマップに関する参考文献

「火山のはなし」(2000年 下鶴大輔著 朝倉書店 A5版 166p \2900)
「火山噴火と災害」(1997年 宇井忠英編 東京大学出版会 A5版 220p \3500)
「火山災害の規模と特性」 (1993年 荒巻重雄編 文部省科学研究費重点領域研究 B5版 460p 非売品)
「火山噴火災害危険区域予測図作成指針」 (1992年 国土庁防災局 A4版 200p 非売品)

火山のハザードマップのリスト(産総研地質調査総合センターのHPから)