ペルー日記(2002年9月)
2002年9月18日「NHKその時歴史が動いた」撮影の日。
今日は、丸一日かけて、小学生・中学生の授業風景、校長先生のインタビュー、
周辺の風景などが撮影されました。ある生徒からは、「自分たちは野口英世学
園という日本でも有名な学園で学んでいる」という印象も聞かれ、皆にとって
も刺激になったようです。
撮影にあたり、番組の制作ディレクターの方からメールを頂いていました。
「エクアドルやペルー、メキシコ、ブラジル・・・各国に、その名前を冠した
研究所や学校があることから英世が中南米に与えた影響は、とても大きいもの
だったと思います。現地取材を通じて、今の中南米に残る英世マインドを紹介
できないか、そう考えております。ペルーの野口学校と会津では、語学ボラン
ティアの派遣など人的交流に力を入れていると、会津若松の照島さんにも伺い
ました。この交流こそ、現地に赴き研究する、そのパッションが現地の人々に
感銘を与えた「行動する医者」英世のたましいに通じるものではないでしょう
か?」その際やり取りさせていただいたメール。
「エクアドルのノグチ通り、メキシコ・メリダに残る野口英世記念病院、研究
所など、彼がラテンアメリカ諸国に与えた感動の大きさを偲ばせます。
しかし残念なことにこの地ペルーでは、人々の記憶から彼の名前が消えつつあ
るようで、校名のノグチヒデヨとは一体誰なのかと、尋ねられることしばしで
す。しかし、彼の魂を語り継ぐことは、日本人としての誇りだけでなく、ペル
ーに生きる人々にとっても力になると思っています。
人の行動や言葉、生き様を通して心に響いたことは、忘れない。
彼の魂も伝記として読むだけでなく、こうして日本から彼の名によって集まる
人々がいるということ、そしてその人々と過ごした時間、それは子供達の心に
ずっと残るだろうと、校長先生も考えています。
そして、日本よりずっと厳しい社会環境の中で次の世代を担う子供達が、自分
達自身の日本観、世界観を培い、そしてそれによって自分の国のもつ力を見つ
け出してくれたらと、祈っています。
5月の野口英世の命日、また11月は彼の生誕を記念し野口英世月間として、彼
の絵を書いたり、書道で野口英世と書いたり、詩を作って発表したり、歌や踊
りを学年ごとに発表したりと、重点をおいて日本文化に触れています。
また、中学生達には、彼の生き様をどう思うか、またどんな生き方をしたいか
といった作文を書いてもらったことがあります。今、野口英世と会津の物語を、
知人が会津で書き進めており、それをスペイン語に訳しているところです。
それをもとに、猪苗代、会津の歴史や、風土が育む人間性、母と子の思いの深
さ、人類すべてに思いを寄せる無条件の愛などを、語りあえたらと思っており
ます。」
番組の当初の意向ではエクアドルへの旅立ちが歴史が動いた瞬間でした。スタ
ッフの話では、まず彼の生涯を追い、そのあと南米に残る彼の足跡をたどり最
後にペルーの野口英世学園というあらすじでした。校長先生へのインタビュー
の中で学園に生きる野口魂を感じたカメラマンの方がはからって、ノグチ学園
という名前の起こりや、野口についての授業風景を撮ってくれました。このと
きには、最近の自分にとってもテーマである母の愛が頭に浮かんだので、授業
では彼を生涯支え励ました母の愛と恩師の愛、それにこたえた英世の志と人類
愛について話し合ってみました。最後の方は私の主張になってしまいましたが。
ペルー日記